湖畔からの発信 不動産鑑定士 村木康弘のひとり言

2015.04.02

不動産よろず相談所 個人向け不動産アドバイザリー業務(1)

日本不動産カウンセラー協会(JAREC)の依頼を受けて、「個人不動産アドバイザリー部門」のビジネスモデルとして、不動産を保有する資産家に対する継続的なカウンセリングの方策についての拙文を月刊不動産鑑定(住宅新報社)に掲載頂きました。以下数回に分けて紹介させていただきます。

1.はじめに

筆者は地方都市に事務所を構える一介の不動産鑑定士である。大都市と異なり鑑定評価を依頼し慣れている民間の顧客は皆無で、不動産鑑定士と付き合ったことのない人が殆どという状況にある。不動産鑑定士と言う資格名称を耳にしたことはあるが、何をしてくれる人なのか、どのような時に訪ねれば良いのか分からないと言う印象を持たれているように思う。一方で、知人や税理士等の専門家を通じて、不動産で困っている方がいるので話を聞いてやって欲しいという依頼は結構ある。相談者の話を伺うと、境界で隣人と争っているとか、ローンの返済に窮しているとか、遺産分割で揉めているなど相談内容は多岐にわたる。収益不動産を購入しようか否か迷っていると言って不動産広告を持参する方もいる。みなさん不動産に関連して何らかの悩みを抱いている。価格を知りたいと言ってくる方は稀であるので、不動産鑑定士としては素直に喜べないのであるが、不動産に関する悩み事を聞いて、論点を整理して、解決の方向性を示すことで相談者はかなり満足してくださるのでやりがいがある。然るべき専門家を紹介して、解決することも多い。後日、無事に解決しましたと手土産を持参して事務所を訪ねてくださることもある。折に触れ不動産鑑定士の仕事や鑑定評価書が役に立つ場面を話しておくと、次の機会に評価の依頼者を連れてきて下さることもある。こんなことを続けながら、独立して十数年が経った。不動産で困ったらあそこに行けと言われるようになりたいと、「不動産よろず相談所」を掲げて不動産相談に応じている。顧問契約を結んで継続的なアドバイスを行う先もできた。手前味噌であるが、以下に弊社で行っている不動産保有資産家に対する継続的なカウンセリングの方策について述べてみたい。

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